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BLOG
ドクター&スタッフのブログ


作家の宮本輝さんのこと
今回は、医療と関係ない話です。 私、作家の宮本輝さんの作品が大好きなんです。 出会いは、大学受験か高校受験かどちらかなので、中学3年か高校3年の時です。どこの学校だったか覚えていないのですが、「螢川」という芥川賞を受賞された作品の最後の場面が国語の過去問に使用されていました。これに感動した私は、早速「螢川」「泥の河」「道頓堀川」の川3部作の文庫本を買ってきて、受験勉強そっちのけにして全部読んだというのが始まりです。 その後は、「青が散る」「春の夢」「錦繍」と大学時代は、その時代に出版されていたほぼ全ての小説以外にも随筆なども含めた宮本作品を読みました。大学を卒業した後は、一人前の形成外科医になるための勉強で忙しくてあまり小説を読まない時期がありましたが、ほぼ全ての宮本作品を読んだと思います。 宮本輝作品を読んだことのない人のために、私がお勧めする順番をご紹介しましょう。 螢川、泥の河、道頓堀川 川三部作 まずは、これを読んでください。川三部作と呼ばれています。 「泥の河」(1977年太宰治賞)、「螢川」(1978年芥川賞)を受賞されています。..
14 時間前


裏ハムラの複視について
裏ハムラ手術の術後合併症としての複視が話題になっていると耳にしました。 この機会に、私がこの20年あまりの間に経験した裏ハムラの複視について書きたいと思います。 複視について まず、複視について説明します。 複視というのは、1つの物が2つに見える状態のことをいいます。つまりダブって見えるということです。われわれの目は、左右の2つの目で少し異なる角度から物を見てその情報を脳がまとめて1つにして認識していますが、そのバランスが崩れると複視が生じます。 複視には、両眼性複視と単眼性複視があります。両眼性複視の場合は、片眼を閉じると複視が消えます。つまり、両目で見る機能が障害されています。原因としては、斜視、外眼筋麻痺、外傷による外眼筋障害、急激な眼位の変化などがあります。一方、単眼性複視は、片眼でも二重に見えます。原因は、角膜の問題(乱視など)、白内障、水晶体の問題などがあります。 われわれ形成外科医が遭遇する複視には、眼窩底骨折がメインでしょう。私も形成外科医として眼窩底骨折の治療に携わってきましたので、たくさんの複視を診てきました。典型的な複視は、
5月11日


「汗のにおい」の正体とは?〜エクリン汗腺と生活習慣の関係〜
甲府昭和形成外科クリニックの大河内です。ひきつづきワキの汗に関していろいろな情報をお伝えできればと思います。今回は汗のにおいについてお話します。 「汗臭いにおい」と聞いて、どんなにおいを思い浮かべますか? ちょっと酸っぱいにおい、ツンとしたアンモニアのようなにおい…。これらは私たちの体に無数に存在する「エクリン汗腺」から出る汗が、皮膚表面の菌によって分解されることで発生します。 エクリン汗腺は全身に約200万〜500万個分布しており、運動時や暑いときに体温を調節するために汗を分泌します。汗の成分は約99%が水分で、残りは電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム)、尿素、アンモニア、乳酸、微量の亜鉛・鉄・脂肪酸などです。分泌された直後の汗は基本的に無臭です。 では、なぜ汗のにおいが生まれるのでしょうか? それは皮膚にいる常在菌が汗の成分を分解することで、におい物質が発生するからです。乳酸はコリネバクテリウム属の菌によって酢酸やプロピオン酸となり酸っぱいにおいに、尿素はブドウ球菌などによってアンモニアに変化してツンとしたにおいに、
4月27日


医療レーザー脱毛の仕組み|パルス式・蓄熱式の違いとレーザーの種類
医療レーザー脱毛は、クリニックで行う高い脱毛効果が期待できる治療です。 しかし、医療脱毛には、「パルス式(熱破壊式)」、「蓄熱式」といった照射方法の違いや、「アレキサンドライトレーザー」、「YAGレーザー」、「ダイオードレーザー」などのレーザーの種類があり、毛質や部位によって使い分けられています。 今回は、医療レーザー脱毛の仕組みや、それぞれの特徴を一般の方にわかりやすく解説したいと思います。 医療レーザー脱毛の仕組み 医療レーザー脱毛は、毛の黒い色(メラニン)に反応するレーザー光を照射し、毛髪を作る組織を破壊することで脱毛効果を得る治療です。 レーザー光がメラニンに吸収されると熱が発生し、次のような組織にダメージを与えます。 毛母細胞(毛を作る細胞) 毛包(毛を成長させる) バルジ(毛の成長をコントロールする領域) この働きによって、毛が生えにくくなっていきます。 医療機関で行うレーザー脱毛は、エステ脱毛と比べて出力の高いレーザーを使用できるため、より高い脱毛効果が期待できます。 パルス式(熱破壊式) パルス式は、高いエネルギーのレーザーを「パ
4月20日


アポクリン汗腺の役割 ~動物との比較から見る人間の進化~
甲府昭和形成外科クリニックの大河内です。ひきつづきワキの汗に関していろいろな情報をお伝えできればと思います。今回はアポクリン汗腺の役割について人間と動物を比較しながらお話します。 私たち人間の体には主に二種類の汗腺があります。ひとつは体温調節に欠かせないエクリン汗腺、もうひとつはにおいに関わるアポクリン汗腺です。 多くの哺乳類は全身にアポクリン汗腺を持ち、その動物特有のにおいはここから生まれます。これに対して、人間は全身にエクリン汗腺を発達させ、大量の汗をかいて体温を下げるという、ほかの動物にはない珍しい仕組みを持っています。直立二足歩行や体毛の退化、そして社会的コミュニケーションの進化に伴い、人間の発汗様式は大きく変化しました。 身近な動物と比較しながら、人間の汗腺はどのように進化してきたのか調べてみました。 馬 馬は人間と並んで全身から大量の汗をかく数少ない動物です。馬の汗はアポクリン汗腺由来で、ラセリン(latherin)という成分を含み、泡立つ特徴があります。これにより汗が体表に広がりやすく、効率的に体温を下げることができます。 牛..
4月13日


形成外科歴30年を振り返って
本年2026年4月より、私は14年間務めた山梨大学医学部の職を辞し、本クリニックの院長になりました。人生の一つに節目に際し、今回は今までの医者30年を振り返って僭越ながら自分の話をしたいと思います。 1995-1997年 皮膚科研修医時代 山梨医科大学(現山梨大学))を卒業して、皮膚科に進みました。私の時代は現在のような初期臨床研修というシステムはまだありませんでしたので、入局のリクルートは大学6年生の時で、卒業と同時に専門の科へ進む制度でした。この2年間は、毎月10日ほどの当直をして早朝から深夜まで働いて、休みもなく今では考えられないような生活でした。 しかしながら、皮膚科医としての基本を学ぶとともに、病棟では、水疱症、皮膚T細胞リンパ腫、膠原病、全身熱傷の管理など、すさまじく濃密な2年の研修医生活を過ごすことができました。そんな中でも、最も疲弊する原因となったのが全身熱傷の治療です。救急部の先生の手を借りてはいましたが、集中治療室での全身管理は本当に大変でした。 1997-1998年 自治医科大学時代 形成外科を志すことに決めた私は東大の形成
4月8日


ルーベンスから美を考える
みなさまこんにちは、形成外科医の長坂です。 好き勝手にブログを書いていいとのことでしたので、今回も長々と書かせていただきます。堅苦しい内容ではないので、ご興味のある方はお付き合いください。 私はクリスマスにはケーキを食べ、年末年始は除夜の鐘に初詣、天皇誕生日は心から祝日を謳歌する…という宗教観に乏しい典型的な日本人です。ただ、幼少期はキリスト教が身近な環境で育ち、自然と宗教画に触れる機会が多く、気付いた時には西洋美術が好きでした。 ルーベンスという画家をご存知でしょうか。『フランダースの犬』で主人公ネロが憧れた画家で、「パトラッシュ、疲れたよ…(以下略)」の場面、ネロが最期に観た絵を描いた人です。画家の王とも称され、存命中から画家としても外交官としても高く評価されていました。作品をみれば、その人気にも納得がいきます。 ただ、彼の描く女性は、だいたい太っちょなのです。ぽっちゃりという可愛いレベルではありません。 スリムな女性が美しいとされるのは1920年代以降だそうで、それまでは女性はふくよかな方が美しいとされてきました。楊貴妃だって80kgくらい
3月30日


フェイスリフトについて
美容外科におけるフェイスリフト( Face lift )は、加齢による顔のたるみやしわを改善し、若々しい輪郭を取り戻す手術です。今回はフェイスリフトについて「歴史」「老化の仕組み」「術式の種類」「メリット・デメリット」まで一般の方向けにわかりやすく述べたいと思います。 フェイスリフトの歴史 ① 1900年代初頭:皮膚だけを引き上げる時代 初期のフェイスリフトは「皮膚を切って引っ張るだけ」の手術でした。 効果は一時的で、引きつった不自然な仕上がりになりやすいという問題がありました。 ②1970年代:SMAS法の登場 顔面頬部の皮下に存在するSMASという浅筋膜の層を処理する方法が確立されました。 表面の皮膚だけを牽引するのではなく“土台”となるSMAS(浅筋膜)を引き上げることで、より自然で長持ちする結果を得ることができるようになりました。 ③1990年代:ディーププレーン法 SMASの下の層を剥離する方法です。これにより、ほうれい線や中顔面の改善効果が高まりました。 ④2000年代以降:低侵襲・個別化の時代 ミニリフト、内視鏡リフト、糸リフトなど
3月23日


世界で見たわきが事情 ~地域ごとの違いと文化的背景~
甲府昭和形成外科クリニックの大河内です。 ひきつづきワキの汗に関していろいろな情報をお伝えできればと思います。 今回はわきがについて世界の各地域で比較してみました。 わきがは、アポクリン汗腺から分泌される汗が皮膚の常在菌によって分解されることで生じる特有の体臭を特徴とする体質です。世界を見渡すと、わきがの有病率や社会的な受け止め方、治療の普及度には大きな地域差があるようです。 日本を含む東アジアのわきが体質の割合は5〜15%程度と低く、このため腋臭症は病気として認識されやすく、社会的な感受性も高いのが特徴です。 日本国内ではわきがの有病率に明確な地域差があるという大規模な疫学データは存在しませんが、耳垢型や遺伝的背景(ABCC11遺伝子の分布)に由来する人種的・集団的な差が報告されており、縄文系(湿性耳垢が多い)・弥生系(乾性耳垢が多い)という人類学的仮説に基づき、東日本より西日本に湿性耳垢がやや多いとする説があります。 日本と比較して韓国や中国北部のわきがの有病率はさらに低いそうです。ABCC11遺伝子のA型(乾性耳垢型)は北東アジアで生じ
3月18日


瘢痕拘縮
皆さんこんにちは、形成外科医の長坂です。 前回、ケロイド・肥厚性瘢痕に触れましたが、あわせて瘢痕拘縮についてもお話しします。 瘢痕拘縮とは、傷跡の引きつれにより関節周囲や口周り、首などが動かしにくくなることを指します。やけどのあとや外傷、手術瘢痕など様々な傷あとが原因になりえ得ます。 基本的に傷は収縮しながら治癒します。 見た目は治っていても創部が硬いことがあります。これは数ヶ月~数年かけて瘢痕が成熟するのですが、まだ、その過程であるためです。具体的にはⅢ型コラーゲンがⅠ型コラーゲンに置き換わることで徐々にやわらかくなっていくのです。 前述の部位は動作に伴って皮膚が大きく動くところです。こういった部位での瘢痕で、創部リモデリングの停滞や線維化の持続がみられると、皮膚が硬く縮まり、もとの動きができなくなってしまいます。そうなると動くときに引きつれるだけではなく、関節自体が拘縮してしまったり、成長障害を起こしてしまったりします。そうならないように、こういった瘢痕拘縮を解除してあげる治療が必要になります。 これらの治療は皮弁作成術と植皮術が選択されるこ
3月10日
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