フェイスリフトについて
- 18 時間前
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美容外科におけるフェイスリフト( Face lift )は、加齢による顔のたるみやしわを改善し、若々しい輪郭を取り戻す手術です。今回はフェイスリフトについて「歴史」「老化の仕組み」「術式の種類」「メリット・デメリット」まで一般の方向けにわかりやすく述べたいと思います。
フェイスリフトの歴史
① 1900年代初頭:皮膚だけを引き上げる時代
初期のフェイスリフトは「皮膚を切って引っ張るだけ」の手術でした。
効果は一時的で、引きつった不自然な仕上がりになりやすいという問題がありました。
②1970年代:SMAS法の登場
顔面頬部の皮下に存在するSMASという浅筋膜の層を処理する方法が確立されました。
表面の皮膚だけを牽引するのではなく“土台”となるSMAS(浅筋膜)を引き上げることで、より自然で長持ちする結果を得ることができるようになりました。
③1990年代:ディーププレーン法
SMASの下の層を剥離する方法です。これにより、ほうれい線や中顔面の改善効果が高まりました。
④2000年代以降:低侵襲・個別化の時代
ミニリフト、内視鏡リフト、糸リフトなどいろいろな術式が考案され、選択肢が多様化していきました。「フルでしっかり」から「必要な部分だけ」まで幅広く対応可能になりました。
⑤2010年以降:拡大ディーププレーン法、High SMAS法
拡大ディーププレーン(extended deep plane)法はSMAS下の剥離を耳下腺の前縁を超えて広く剥離する術式です。これによって、jowl fatへの牽引がより効果的になりました。
また、High SMAS法は頬骨弓の高さでSMAS弁を作成することで深側頭筋膜へしっかりとした固定が可能となり、特に中顔面に対するリフトアップ効果が高まりました。
フェイスリフトの主な術式
①ミニリフト
最近ではあまり主流とはいえないと思われますが、SMASを触らずに皮下を少し剥離するだけの小さなフェイスリフトを指します。
メリット
剥離範囲も切開部分の長さも短くてすみますので、ダウンタイムが短いという点が利点です。
デメリット
当然ですが、リフトアップ効果は弱くなります。あまり長持ちしません。
コメント
しっかりとした結果を得たいと考えるのであればこの方法は選択肢にはなりません。しかし、最近、後述するdeep plane法を謳いながら実はこの方法だったりすることがあるらしいので、注意が必要です。片方が1時間程度で終わるようなフェイスリフトは怪しいと考えて良いかと思います。
②SMAS法
私は、今から25年前頃に耳珠から1cm程度の部分からSMASの下に入り耳下腺の前縁を超えて顔面神経の上を剥離していく方法を普通のSMAS法として教わりました。しかし、これは最近の分類によるとextended deep plane法のようです。つまり私は初めから、extended deep plane法で行っていたようです。ただし、ここでのSMAS法はSMASの下をほとんど剥離せずに部分的に切除するだけの方法を指すことにします。
メリット
皮膚のみのフェイスリフトに比べると、リフトアップ効果も持続性もよくなります。
デメリット
ですが、それほど効果的な手法とはいえません。
コメント
現在の主流からは取り残された術式です。
③ ディーププレーンフェイスリフト(extended deep plane法)
近年は、deep plane法とかHigh SMAS法とかという言葉が氾濫しています。
deep plane 法は表ハムラや裏ハムラで有名な米国のSam Hamra先生が報告した方法です。SMASの下の層を剥離します。extended deep plane法と呼ばれる方法は、耳下腺の前縁を超えてさらに広く広くSMASの下を剥離する方法です。
High SMAS法というのは、頬部のあたりでSMAS弁を作成する標準SMASに対して頬骨弓の高さでSMAS弁を作成する方法です。そうすることで、こめかみの深側頭筋膜にしっかりと固定することができるようになり、リフトアップ効果も持続性も向上します。
メリット
もっとも高いリフトアップ効果をもたらします。
長期間の持続が期待できます。
デメリット
顔面神経解剖など高度な技術と知識を必要とします。
手術時間が長時間となります。その分合併症率が上がります。
合併症のリスク
最近日本でも、かなり攻めた術式を手がける美容外科医が増えてきました。
目指すのは、Dr.Martenの術式だと思います。
私も、ほぼMartenの術式に準じた方法で行っています。
High SMASの位置でSMAS弁を作成し、大頬骨筋を超えて内側へ広く剥離をすすめますのでexteded deep plane法に該当すると思います。しかし、この術式はリスクと隣り合わせですのでかなりの緊張感を持って手術に取り組んでいます。
どのような合併症のリスクがあるかですが、
まずは、顔面神経麻痺です。フェイスリフトの顔面神経損傷というと側頭枝が有名です。SMAS弁を標準SMASの位置からHigh SMASにするとこの顔面神経側頭枝の損傷リスクが生じてきますので、十分な解剖学的知識が必要となります。exteded deep plane法を採用する場合には、耳下腺の前縁を超えて広く剥離する必要がありますので、ここで絶対に剥離プレーンを間違えないことが求められます。
次は、血腫です。顔面はもともと血流の良い組織ですので、術後出血による血腫が生じやすいという特徴があります。ですので、丁寧な剥離、十分な止血が必要となってきます。これは手術の基本操作ですが、いつもいつも確実というのはなかなか難しいものです。
以上、ざっとフェイスリフトについて述べました。
手術の効果とリスクのバランスをよく理解した上で、自分の理想・要求にあった術式を取り扱う術者を選ぶことが大切だと思います。

甲府昭和形成外科クリニック
百澤 明
▼ 当院のフェイスリフト治療について



