下眼瞼美容手術の選択 ー表ハムラ・裏ハムラ・脱脂脂肪注入どれがいいのか? ー
- 2 日前
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概要
表ハムラ
これは、テキサスのDr. Sam Hamraが1990年代に報告した術式です。睫毛下皮膚切開で下眼瞼皮膚を切り取る定型的下眼瞼除皺術に加えて、眼窩脂肪を周囲に移動し目袋やティアトラフを目立たなくする術式です。もともとは、Dr. HamraのDeep Plane Faceliftによる顔面若返り治療の一部という捉え方が正しかったのですが、近年では欧米の論文でもHamra Techniqueと記されていますので、ハムラ法の呼び方で問題ないと考えられるようになりました。従来、ハムラ法といえばこの方法のことを指していましたが、日本では次に述べる裏ハムラとの混同を避けるために表ハムラと呼ばれることが多くなりました。この術式を日本で学会発表し広めたのが帝京大学形成外科の小室裕造教授です。
裏ハムラ(経結膜的眼窩脂肪移動術)
これは、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のRobert A. Goldberg教授が1999年に発表した術式です。目の裏側、結膜側を切開して眼窩脂肪にアプローチし、眼窩脂肪の移動・再配置を行います。眼窩隔膜の前を剥離するのか後ろを剥離するのか、眼窩脂肪弁を骨膜上に移動するのか骨膜下に移動するのか、眼窩隔膜を固定するか否かなど、術式の細かな部分は諸家により異なります。2004年に最初の症例を経験し、2006年頃から学会発表などでこの術式を日本国内に広めてきたのが、私、百澤明です。
脱脂+脂肪注入
これは、経結膜的眼窩脂肪切除術(脱脂)と吸引脂肪の注入術を組み合わせた術式で、銀座みゆき通りクリニックの水谷和則先生がこの術式の大家として有名です。特に日本で広く用いられています。しかし、欧米では主流ではないようです。欧米では、眼窩脂肪の移動・再配置が優先され、脂肪注入はその補助的手段として位置づけられています。
それぞれの術式の長所・短所
表ハムラ
皮膚を切り取る術式ですので、中年以降の皮膚余剰がある方に手術適応となります。眼輪筋を切離し、さらに皮膚と眼輪筋の間もある程度は剥離しますので、眼輪筋の一時的な麻痺が生じ、もっとも外反を生じやすい術式と考えられています。しかし、上手くいったときは非常にキレイな仕上がりになります。
裏ハムラ
皮膚も眼輪筋も切開しませんので、皮膚と眼輪筋に対する侵襲が少なく、外反や三白眼などの合併症はほとんど生じません。生じたとしても軽微で一過性であることが多く、私の経験上は、全例自然に治ります。しかし、皮膚を切除しませんので、中高年の方の場合は皮膚の余剰が問題となることがあります。
脱脂+脂肪注入
結膜側の切開は約1cmですみますので、上記2つの術式に比べれば術後の腫れが少ない術式といえます。nano fatを上手に注入すれば青くまにも効果的でとてもキレイな結果を得ることができます。しかし、注入した脂肪の生着が不安定で、吸収されてしまうと凹んでしまい、もの足りない状態になってしまいます。また、たくさん入れすぎたりすると凸凹が生じることもあります。
術式の選択
目袋の有無、皮膚余剰の可能性の有無から、適応を判断することができます。

・目袋がふくらんでいて、かつ皮膚余剰の可能性が低い場合、つまり若い方の場合は裏ハムラの良い適応です。そのほかの術式としては、脱脂+脂肪注入があります。
・目袋がふくらんでいて、かつ皮膚余剰の可能性が高い場合、つまり中高年の方の場合は表ハムラ、あるいは裏ハムラに加えてレーザーリサーフェシングかピンチ皮膚切除を併用する必要があります。
・目袋がほとんどふくらんでいない場合、これは裏ハムラ単独ではあまり良い結果を得ることはできません。裏ハムラ+脂肪注入や脱脂+脂肪注入などのボリュームを付加する手段が必要となります。
術式選択のポイント
ここからは、私の私見となります。
『目袋のふくらみ』
裏ハムラも表ハムラも、移動できる眼窩脂肪が必要です。したがって、術前にある程度の目袋のふくらみがある方が良い適応となります。
『皮膚の余剰』
表ハムラは皮膚の切除を伴いますが、裏ハムラと脱脂・脂肪注入は皮膚の切除を行いません。そのため、中年以降の方の場合は、小じわや皮膚の余剰が生じることがあります。皮膚の表面積を減らすことが必要となりますので、対処法としては、皮膚切除かレーザーによる引き締めのどちらかが挙げられます。最近の欧米では、ピンチ皮膚切除といって睫毛下切開から皮膚のみ切除する方法が主流のようです。
私は、この方法と炭酸ガスレーザーによるレーザーリサーフェシングを使い分けています。50代ぐらいまでで比較的軽度の皮膚余剰にはレーザーリサーフェシングを、60代以上の皮膚余剰の多い方にはピンチ皮膚切除をご本人のご希望を考慮した上で併用します。
患者さんの目のタイプで有効な治療方法は変わってきます。
・患者さんの下眼瞼のタイプ
・患者さんの希望
・医師の得意不得意
などなど、様々な要素を加味して、術式が決定されます。
以上、参考になれば幸いです。

甲府昭和形成外科クリニック
百澤 明
▼ 当院の裏ハムラ治療について



