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シミの治療の話

  • 8月31日
  • 読了時間: 4分


今回も、以前Xに書いた原稿をもとに改変したものになります。前回の日焼けと日焼け止めの話の続きということで、シミ治療の話をしたいと思います。

過去の教科書でも病理組織学的、疫学的などいろいろな切り口で執筆してきましたが、今回は治療の観点でこれから美容皮膚科を学び始める若手の先生を相手に、と想定して解説します。


―シミ治療はレーザー選びではなく、診断から始まる―

シミというのは、医学用語ではないので教科書などでは“加齢性色素沈着症いわゆるシミ”とか言ったりします。実際に、患者さんがシミと呼ぶものの中には、日光黒子、雀卵斑、肝斑、ADM、炎症後色素沈着など様々な疾患が含まれています。

まず、治療上最も重要なことが悪性腫瘍や前癌病変の除外です。日本人は顔面のメラノーマは少ないのですが基底細胞癌は好発部位です。また、前癌病変である日光角化症もしばしば見かけます。このような病変が疑われる場合は、レーザーなどの美容医療は施さず早急に皮膚科の専門医を紹介しなければなりません。

次に鑑別しなければならないのが、不用意にレーザーなどをしてはならないタイプの色素沈着症です。ずばり、肝斑と後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)です。この2つは慎重に丁寧に治療する必要があります。まずは、この2つを確実に見抜く目を養う必要があります。


まずは、肝斑の難しさについて述べましょう。

肝斑は、30から50歳ぐらいまでの女性に多いもので、メラノサイトのメラニン産生が亢進しています。炎症をともなう治療を行うとかえって濃くなることが多いのです。従って、優しく静かに治療することが重要だと私は考えています。Qスイッチルビーレーザーなどで、バシッとやるのではなく、内服治療、トレチノイン治療、レーザートーニング、IPLなどで、強い刺激を与えずに治療します。

当科の部下には《眠っている虎を起こさないようにそっとメラニンをかすめ取るイメージ》などと教えています(笑)。


悪性腫瘍や前癌病変を除外し、肝斑や後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)との鑑別ができたら、次は表皮(表在性)の色素沈着症なのか、真皮のものなのか、その両方のものなのかを見極めます。表皮のメラニンが主体のものには、肝斑を除くと日光黒子(日光色素斑)、雀卵斑、炎症後色素沈着(急性期)などが挙げられます。肝斑と炎症後色素沈着以外の表皮の色素沈着と診断できれば、Qスイッチレーザーやピコレザー、レーザーフェイシャル、IPL、トレチノイン治療など、様々な治療法が適応になります。長所短所を説明し患者さんと相談の上、治療を選択します。実際にはどのデバイスがその医療機関に装備されているかで変わってきますね。

炎症後色素沈着(急性期)は、湿疹、やけど、レーザー治療後など皮膚に炎症を生じるものすべてで生じる可能性があります。したがって基本的にはレーザーはダメです。レーザー照射が次の炎症後色素沈着の原因になりますので、無限ループになります。そのようなケースを時折見かけますので注意が必要です。

真皮のメラニンが主体のものには、炎症後色素沈着(慢性期)、真皮性肝斑、太田母斑などが挙げられます。太田母斑はQスイッチレーザーでとてもキレイになります。真皮性肝斑と炎症後色素沈着(慢性期)はすこし工夫が必要です。表皮と真皮の両方にメラニンが沈着しているものとしては、後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)、炎症後色素沈着(慢性期)が挙げられます。後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)は一番難しい部類だと思います。

ADMの治療上の振る舞いは肝斑そのものであることが多いのです。私の印象ではADMの治療上の反応は、まるで肝斑と太田母斑のミックスです。そう考えれば治療戦略を理解しやすくなります。つまりレーザーは必須ですが、肝斑の増悪に対する対策も必要ということです。方法の詳細はここでは長くなるので、省略します。


以上の要点を押さえられれば、あとは、様々な治療器械、外用薬がありますので、それらの長所と短所をよく理解して治療に用います。


当然、千差万別いろいろなケースがありますので、その患者さんの満足に近づけるもっともよい選択を心がけたいものです。その他、脂漏性角化症、ほくろ、毛穴、肌質改善などなど、主訴はいろいろあります。


実際には、もっと複雑怪奇で奥が深いのが美容皮膚科診療です。

なかなか、取れないシミなどでお悩みの方も是非、ご相談ください。




甲府昭和形成外科クリニック

百澤 明



〒409-3866 山梨県中巨摩郡昭和町西条3517

TEL : 055-268-3336 FAX : 055-268-3366

※すべての診療日で完全予約制とさせて頂いています。必ずお問い合わせの上、ご来院ください。

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