日焼け止めの話
- 2 日前
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私は形成外科医なのですが、大学を卒業した後、皮膚科医になりました。たった2年で形成外科医に転向しましたが、その後も、元皮膚科医ということで美容皮膚科の仕事をたくさん頂きました。
今回は、2014年にPEPARSという医学雑誌の依頼で私が書いた記事を改変してXに投稿した内容をさらに、現在の情報に合わせてアップデートしたものを披露します。
紫外線は、波長の長さによって長波長紫外線(UVA)、中波長(UVB)、短波長(UVC)に分けられます。 日光にあたった後、翌日をピークに皮膚炎を生じる現象が急性障害であるsunburn(やけど)で、それに引き続いてメラニンが増加し、皮膚が黒くなる反応がsuntanです。
地表に降り注ぐ紫外線の95%はUVAで5%がUVBです。UVCはオゾン層で吸収されるので地表には到達しません。皮膚の光老化や光発癌は、紫外線への慢性的な暴露によって引き起こされる皮膚変化です。そして、その紫外線への慢性的な暴露によって、真皮の弾性線維などが変性するsolar elastosis(光線性弾性線維症)が生じ、皮膚の弾力低下や深いシワ、たるみなどにつながります。 イヤな話ですね(笑)。
光老化や光発癌を防ぐには、ずばり、紫外線からの暴露を避けることです。日焼け止めが重要ということですね。
以前はUVBの影響が特に重視されていましたが、その後、UVAも光老化や発癌に関与することが明らかになってきました。これは有名な話ですね。安全な日焼けと考えられていたUVAによる日焼けサロンの愛好家の間で悪性黒色腫(生命に関わりうる皮膚がん )が増加傾向にあることから、WHO/IARCは、紫外線を照射する日焼けマシンを「ヒトに対して発がん性がある機器(Group 1)」に分類しました。 したがって、日焼け止め はUVBだけでなくUVAも遮断できるものが必要です。
UVAはPA(Protection grade of UVA)、UVBはSPF(Sun Protection Factor)で防止能力が示されています。SPF値は、UVB透過率の逆数ですのでSPF 50はUVB透過率が1/50という意味です。実際には、SPF30で約97%、SPF50では約98%のUVBを防ぐことができるといわれています。
日焼け止めの成分は、紫外線散乱剤(無機成分)と紫外線吸収剤(有機成分)があって、そのいずれか、あるいは両方が含まれています。散乱剤は酸化チタンや酸化亜鉛などの金属成分(無機成分)、つまり金属の膜で紫外線を吸収・散乱して皮膚を保護します。吸収剤は有機物質で、それ自体が紫外線を吸収しUVAとBを遮断します。
子供用の日焼け止めは、「ノンケミカル」と書いてあったりして、吸収剤を含まず散乱剤のみでできているので、吸収剤は肌に悪いと思われがちです。吸収剤は日光のエネルギーを吸収して取り込むわけですから、なんだか肌に悪そうですね。でも、紫外線吸収剤が一律に肌に悪いわけではありません。最近の吸収剤は刺激性が少ないといわれています。ただし、肌質によっては刺激感やアレルギーなどが生じる可能性はありますので、敏感肌の方は自分に合った製品を選ぶことが大切です。
SPF値やPA値は、2mg/㎠または2μl/㎠の塗布を規定量として算出されていますので、表示通りの効果を得るには、顔面の表面積が約400㎠とすると約800μlつまり直径11mmのビー玉ぐらいの量が必要となります。屋外では2時間ごとの塗り直しが推奨されています。特にスポーツなどでは汗や接触でとれてしまいますのでその都度頻回の塗り直しが望ましいとされています。
私はゴルフをしますが、ゴルフの場合は前半のハーフラウンド後のランチの際に塗り直すのが普通だと思います。しかし、本気で日焼けを避けるなら、それでは足りないということになります。ゴルフ年間100ラウンド越えにして、真っ白な知り合いに対策を聞いたところ、ホール毎にスプレー型の日焼け止めを重ね塗りしているとのことでした。私も、最近はそれをマネして取り入れています。
以上、日焼け止めは、SPFだけではなくPAも重要です。炎天下のレジャーやスポーツなのか、日常生活なのかでスタイルに適したものを選択しましょう。

甲府昭和形成外科クリニック
百澤 明



