Isotretinoin
イソトレチノインによるニキビ治療
イソトレチノイン(Isotretinoin)は、にきび(尋常性ざ瘡)の重症例や、他の治療法(抗生物質や外用薬など)で効果が得られなかった場合に使用される強力な経口レチノイド薬です。以下に、イソトレチノイン治療の特徴や注意点を詳しく説明します。
1. イソトレチノインの作用機序
イソトレチノインは、以下のような作用を通じてにきびを治療します。
-
皮脂腺の縮小と皮脂分泌の減少 : 皮脂分泌を大幅に抑制し、にきびの原因となる毛穴の詰まりを防ぎます。
-
毛穴の角化異常の改善 : 角化異常を正常化し、毛穴の詰まりを減少させます。
-
抗炎症作用 : にきびの炎症を軽減します。
-
細菌の増殖抑制 : 皮脂の減少により、にきび菌( Cutibacterium acnes)の増殖を抑えます。
2. 治療の適応
イソトレチノインは、以下の場合に使用されます。
-
重症のにきび(結節性・膿疱性・囊腫性)
-
他の治療法(抗生物質や外用薬)に反応しない中等度以上のにきび
3. 治療スケジュール
-
投与量 : 通常、体重1kg あたり0.5〜1mg を1 日1〜2 回内服します。重症例では、最大2mg/kg/日が使用されることがあります。
-
治療期間 : 通常、16〜24 週間(約4〜6 か月)。目標は累積投与量(120〜 150 mg/kg)を達成することです。
-
効果 : 通常、治療開始後2〜4 週間で改善が見られますが、最初は一時的に悪化する場合があります。
4. 副作用
イソトレチノインは非常に効果的な薬ですが、副作用が多いため注意が必要です。
一般的な副作用
-
口唇乾燥(非常に頻繁)
-
皮膚の乾燥やかゆみ
-
鼻の乾燥(鼻出血の原因になることも)
-
目の乾燥(コンタクトレンズ装着の不快感)
-
脱毛や髪の質の変化
重篤な副作用
-
催奇形性 : 妊娠中の使用は絶対に禁忌(胎児に重度の奇形を引き起こすリスク)
-
精神的影響 : 抑うつ症状、気分の変化
-
肝機能障害 : 定期的な血液検査で肝機能や脂質のモニタリングが必要
-
骨や筋肉の痛み : 成長期の子どもや若者では骨密度への影響が懸念される
5. 治療中の注意事項
-
避妊 : 治療中および治療終了後少なくとも1 か月間は確実な避妊が必要(妊娠の可能性を完全に排除するため)。
-
アルコール摂取の制限 : 肝臓への負担を減らすため。
-
UV 対策 : 皮膚が敏感になるため、日焼け止めの使用や紫外線の回避が重要。
-
定期的な医師のフォローアップ : 血液検査(肝機能、脂質)や副作用のチェックが必要。
6. 治療後の再発とフォローアップ
イソトレチノイン治療後、にきびは多くの場合長期間にわたって改善しますが、一部の患者では再発する可能性があります。再発の場合、軽症であれば外用薬や抗生物質治療で対処可能。重症の場合は再度イソトレチノイン治療を行うこともあります。
7. 料金
当院のイソトレチノインは「アクネトレント」という製品を取り扱っています。アクネトレント10㎎、20㎎の2 種類がございます。カウンセリングでお肌の状態を確認した上で、適切な量を判断していきます。
アクネトレント10 ㎎
7,800 円 (260 円/1 カプセル)
アクネトレント20 ㎎
12,600 円(420 円/1 カプセル)
イソトレチノインの処方前に採血検査を行い、肝機能や脂質異常が無いか確認します。検査結果は1 週間後に出ますので、再度来院していただき処方します。定期的に診察と血液検査が必要になります。
採血
3,000 円
妊娠検査薬
無料(妊娠が疑われる方のみ)