やけど
人間の皮膚は45℃以上の温度になるとタンパク質が変性して、熱傷とよばれる状態になります。
接触する熱源が45℃の場合1時間、70℃の場合1秒で組織の破壊が始まるといわれていて、前者をとくに低温熱傷と呼んでいます。
低温熱傷
低温熱源の長時間にわたる皮膚への直接の接触により起き、接触部の温度が44℃だと約6 – 10時間で熱傷になると言われています。
原因となる低温の熱源としては湯たんぽ、カイロ、ストーブ、ファンヒーター、ホットカーペットなどの暖房器具が多く、また受傷者側の要因としても、熟睡・泥酔していたり、体が不自由であったり、高齢や糖尿病のため皮膚の感覚が低下している状態にあると低温熱傷を起こしやすくなります。
「低温」という名称から軽く考えがちですが、低温熱傷は熱源との接触時間が長いため、表面だけのやけどに見えても深くまで損傷し、あとあと重症になることも珍しくありません。
低温熱傷の予防
- 体の同じ場所に暖房器具を長時間触れさせないようにする。
- 高齢者や体が不自由なかたに対してはまわりの人が気を付けてあげる。ことが大事です。
やけどをしてしまったら・・・
患部をすぐに流水で冷やしましょう。最低でも15分は冷やし続け、熱損傷が深部に及ぶのを食い止めます。
その後はすみやかに医師の診察を受けるようにしましょう。
服を着ている場合は無理に脱がず、そのまま水をかけること(服に貼りついた皮膚が剥がれることがあります)。
またアロエ、馬油などの民間療法はその後の治療の妨げとなるため自己判断での使用は避けてください。
*火事などによる広範囲の熱傷、気道の熱傷が疑われる場合など、重症の可能性があれば救急搬送の要請が必要です。
*過冷却(冷やしすぎ)にならないよう、体の小さな幼少児や高齢者では特に注意してください。
治療
表面だけのやけどであれば、痛み・ひりひり感に対してステロイドを含有した抗菌薬の軟膏を塗ることで治療できます。
水ぶくれができるような中程度のやけどでは、特殊なテープや保護材を併用した治療を行います。
これよりも深いやけどでは皮膚が覆われるまでの時間も長くなり、時に手術を必要とするため山梨大学医学部附属病院をはじめとした総合病院へのご紹介を提案させていただく場合もあります。