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News
お知らせ記事一覧


脱脂は過剰脱脂に注意
―目の下の脂肪、本当に取ってしまって大丈夫?― 最近、私の外来で増えている相談があります。 「目の下のクマが気になって脱脂を受けたのですが、かえって目の下が凹んでしまいました」 「クマはなくなったはずなのに、以前より疲れて見えるようになりました」 「脱脂後、目の下が暗く見えるようになりました。元に戻せませんか?」 いわゆる目の下の脂肪の“取りすぎ”、過剰脱脂による合併症です。 私は眼窩骨折などもふくめた眼窩周囲の形成外科を学んできました。その立場から、これからクマ治療を考えている方にぜひ知っておいていただきたいことがらについて述べたいと思います。 「 眼窩脂肪 = 悪者 」というわけではない 目の下にふくらみがあると、「この脂肪を取れば平らになって、クマがなくなる」と考えてしまいがちです。 しかし、目の下のクマはそれほど単純ではありません。 私たちが「クマ」と呼んでいるものの中には、眼窩脂肪の突出による“目袋”と、その下にある“凹み(tear trough)”の両方の要素がまざっているケースが多くあります。 つまり、問題は「脂肪があること」だけで
6 日前


蒙古斑・異所性蒙古斑は、赤ちゃんのうちにレーザーしたほうがいい?
赤ちゃんの肩や腕、足などに青いあざがあり、 「異所性蒙古斑なので、早いうちにレーザー治療をしたほうがいいと言われました」 というご相談を受けることがよくあります。 確かに先天性のあざの中には幼少期にレーザー照射をする方が大人になってから照射するよりも、より効果的なものもあります。 しかし私は、蒙古斑・異所性蒙古斑については、乳幼児期から積極的にレーザー治療を行うことには慎重な考えを持っています。 私は、 「まず成長による自然消退を期待しながら観察し、残ったものだけを後から治療する」 というものです。 異所性蒙古斑も自然に薄くなります。 蒙古斑および異所性蒙古斑は、皮膚の真皮にメラニンをもった細胞が存在する「真皮メラノサイトーシス」の一つです。臀部や腰部の蒙古斑は、成長とともに自然に薄くなることがよく知られています。 一方、肩、上腕、下肢など腰背部以外に存在するものを「異所性蒙古斑」と呼びますが、これらは、通常の蒙古斑より残りやすいとされています。 しかし、残りやすいのは事実だとしてもかなり薄くなってきます。 実際に長期間経過をみていると、肩などの
10月5日


肝斑について
今回は、シミの話と内容が一部重複しますが、肝斑に特化してお話します。 肝斑は、主に頬骨部や額、口の周囲などに、左右対称にみられる淡褐色から褐色の色素斑です。30〜50歳代の女性に多くみられ、境界が比較的ぼやけていること、左右対称であることなどが特徴です。一見すると普通の「シミ」に見えますが、老人性色素斑(日光性色素斑)や炎症後色素沈着などとは性質も治療方法も異なります。 肝斑の原因は、女性ホルモン、皮膚への慢性的な刺激など、複数の要因が関与すると考えられています。紫外線で増悪しますので、紫外線の影響もあると考えられていますが、妊娠をきっかけに出現したり、経口避妊薬などの使用に伴って目立つようになったりすることがあるため、ホルモンとの関連が以前から重要視されています。 また、近年特に重視されているのが「摩擦」です。洗顔時にゴシゴシこする、クレンジングの際に強くマッサージするなどの習慣が、肝斑にとっては慢性的な刺激になっている場合があります。紫外線対策はもちろんですが、「肝斑の部分をできるだけ刺激しない」ということも非常に重要です。...
9月28日


皮膚のできもの手術って何をするの?
こんにちは。甲府昭和形成外科クリニックの看護師です。 当院では、粉瘤(ふんりゅう)をはじめ、ほくろや脂肪腫など、さまざまな皮膚のできものの日帰り手術を行っています。 診察では、 「どんな手術をするんですか?」 「痛みはありますか?」 「手術後はどのように過ごせばいいですか?」 といったご質問をいただくことが少なくありません。 今回は、粉瘤の手術をご検討中の方へ向けて、手術当日の流れや術後の過ごし方について、看護師の視点からわかりやすくご紹介します。 手術当日の流れ ① 手術室へご案内 診察室とは別の手術室へご案内します。 スタッフが手術部位の確認や準備を行い、リラックスして手術を受けていただけるようサポートします。 ② 局所麻酔 まずは手術する部位に局所麻酔を行います。 麻酔の注射をするときにチクッとした痛みがありますが、その後は感覚が鈍くなるため、手術中の痛みは感じにくくなります。 ③ 切開・切除 麻酔が十分に効いたことを確認してから、できものを切除します。 病変の種類や大きさによって手術時間は異なりますが、多くの場合は30分前後で終了します。
9月14日


脱毛を始めるなら、秋・冬がおすすめです
こんにちは!甲府昭和形成外科クリニックの看護師です。 まだ残暑はありますが、少しずつ強い日差しが和らいできましたね。 寒暖差が大きくなる時期ですので、みなさま体調に気をつけてお過ごしください。 さて、長袖を着るようになるこの時期。 「そろそろ美肌治療やシミ治療を始めようかな?」とお考えになる方は多いと思います。 実際に当院でも、秋から冬にかけてシミ治療を希望される患者様が増えてくる印象です。 ところが、脱毛に来られる方は少なくなります。 長袖を着ると、毛が見えなくなって気にならなくなるからでしょうか? それとも、寒くなると通う気力がなくなってしまうからでしょうか? でも実は、脱毛を始めるなら夏よりも秋・冬がおすすめです! 脱毛は1回で終わるものではなく、ある程度の期間をかけて進めていく治療です。 来年の夏に向けて準備をするなら、肌を隠すようになる“今”が始めどきなのです。 なぜ夏より秋・冬がおすすめなの? ① 日焼けの影響を受けにくい 夏の脱毛で特に注意したいのが、やはり「日焼け」です。 医療レーザー脱毛は、毛の黒い色(メラニン)に反応するレーザ
9月7日


シミの治療の話
今回も、以前Xに書いた原稿をもとに改変したものになります。前回の日焼けと日焼け止めの話の続きということで、シミ治療の話をしたいと思います。 過去の教科書でも病理組織学的、疫学的などいろいろな切り口で執筆してきましたが、今回は治療の観点でこれから美容皮膚科を学び始める若手の先生を相手に、と想定して解説します。 ―シミ治療はレーザー選びではなく、診断から始まる― シミというのは、医学用語ではないので教科書などでは“加齢性色素沈着症いわゆるシミ”とか言ったりします。実際に、患者さんがシミと呼ぶものの中には、日光黒子、雀卵斑、肝斑、ADM、炎症後色素沈着など様々な疾患が含まれています。 まず、治療上最も重要なことが悪性腫瘍や前癌病変の除外です。日本人は顔面のメラノーマは少ないのですが基底細胞癌は好発部位です。また、前癌病変である日光角化症もしばしば見かけます。このような病変が疑われる場合は、レーザーなどの美容医療は施さず早急に皮膚科の専門医を紹介しなければなりません。 次に鑑別しなければならないのが、不用意にレーザーなどをしてはならないタイプの色素沈着症
8月31日


日焼け止めの話
私は形成外科医なのですが、大学を卒業した後、皮膚科医になりました。たった2年で形成外科医に転向しましたが、その後も、元皮膚科医ということで美容皮膚科の仕事をたくさん頂きました。 今回は、2014年にPEPARSという医学雑誌の依頼で私が書いた記事を改変してXに投稿した内容をさらに、現在の情報に合わせてアップデートしたものを披露します。 紫外線は、波長の長さによって長波長紫外線(UVA)、中波長(UVB)、短波長(UVC)に分けられます。 日光にあたった後、翌日をピークに皮膚炎を生じる現象が急性障害であるsunburn(やけど)で、それに引き続いてメラニンが増加し、皮膚が黒くなる反応がsuntanです。 地表に降り注ぐ紫外線の95%はUVAで5%がUVBです。UVCはオゾン層で吸収されるので地表には到達しません。皮膚の光老化や光発癌は、紫外線への慢性的な暴露によって引き起こされる皮膚変化です。そして、その紫外線への慢性的な暴露によって、真皮の弾性線維などが変性するsolar elastosis(光線性弾性線維症)が生じ、皮膚の弾力低下や深いシワ、た
8月24日


二重全切開術後に目が開きにくくなった?―医原性眼瞼下垂について
「二重の全切開を受けてから、以前より目が開きにくくなった」 「二重にはなったけれど、眠そうな目になった」 「左右で黒目の見え方が違う」 「二重の食い込みが強く、目を開けるとつっぱる」 最近、このような主訴で私の外来を受診される患者さんが増えています。 全切開法重瞼術(二重全切開法)の術後に、以前より上まぶたが下がってしまうことがあります。このような医療行為が原因となって生じた眼瞼下垂を、医学的には「医原性眼瞼下垂」といいます。 なぜ全切開重瞼術で眼瞼下垂が生じるのか? 開瞼(まぶたを上げる)する際には、「眼瞼挙筋」という筋が収縮し、その力は先端にある薄い膜状の組織「挙筋腱膜」を介してまぶたの瞼板に伝わります。 全切開法重瞼術の場合、重瞼線を作成する際に瞼板付近でこの挙筋腱膜のすぐ近くを手術操作します。そのため、この挙筋腱膜を損傷してしまうことがあります。眼瞼手術の成書にも、手術中に挙筋腱膜を損傷しないよう注意することが重要と記されています。 挙筋腱膜が傷ついたり、本来の位置から外れたりすると、眼瞼挙筋の力がまぶたに十分伝わらなくなり、上まぶたが十
8月14日


医師自身も続けている「おすすめ美容施術」
美容医療にはさまざまな施術がありますが、 「医師自身はどんな施術を受けているのだろう?」 と気になったことはありませんか? 今回は、当院の医師たちが実際に受けている施術や、 受けてみて「良かった」と感じている施術についてご紹介します。 医師ならではのリアルな感想も交えながらお伝えしますので、施術選びの参考にしていただければ幸いです。 石川Drが継続している施術 石川Drは、 肌管理系の施術を中心に継続しています。 特にポテンツァについては、 「正直、結構痛かったです(笑)」 とのこと。 それでも継続した理由については、 「ニキビができにくくなったと感じています」 と話していました。 また、エラボトックスについては 「もうやめられないですね」 と感じるほど満足度が高く、 フェイスラインの改善や食いしばり対策として継続しているそうです。 さらにフォトフェイシャルも定期的に受けており、 「やらなくなると、くすみが気になります」 とのこと。 肌の明るさや透明感の維持を実感しているそうです。 百澤Drおすすめは“早めのヒゲ脱毛” 百澤Drおすすめはヒゲ脱毛
6月8日


夏こそ脱毛を始めたい方へ
こんにちは。甲府昭和形成外科クリニックの看護師です。 6月に入り、薄着になる機会が増えてきました。 「半袖を着る前に脱毛を始めたい」「夏に向けて自己処理を楽にしたい」 そんなご相談をいただくことが増える季節です。 一方で、 「夏って脱毛しても大丈夫なんですか?」「日焼けしていると脱毛できないって聞いたことがあります」 というご質問もよくいただきます。 結論からお伝えすると、 夏でも医療脱毛は可能です。 ただし、脱毛の効果をしっかり引き出し、安全に施術を受けるためには、普段以上に日焼け対策が重要になります。 今回は、夏に脱毛を受ける方にぜひ知っていただきたいポイントをご紹介します。 なぜ日焼けすると脱毛に影響するの? 医療レーザー脱毛は、毛の黒い色(メラニン)に反応するレーザーを照射し、毛を作る組織に熱ダメージを与えることで脱毛効果を得る治療です。 そのため、日焼けによって肌のメラニンが増えている状態では、レーザーが毛だけでなく皮膚にも反応しやすくなります。 その結果、 ・痛みが強くなることがある ・やけどなどの肌トラブルのリスクが高くなる...
6月8日


マイクロサージャリーの話
私は、1996年山梨大学皮膚科学教室で研修医1年目を過ごしていた頃に形成外科医を志すことに決め、医師3年目(今で言うレジ1)の年から東京大学の形成外科学教室に入門することになりました。この頃はマイクロサージャリーで有名な東大形成に入門できると決まったので、早く顕微鏡下の操作をしてみたくてうずうずしたことを覚えていますが、そういう実験や練習をする環境も道具もなかったので、どうすることもできませんでした。 1997年4月に自治医大病院に赴任し、晴れて形成外科医となりました。早速マイクロサージャリー器具のセットを上司の岡崎先生(現東大形成教授)のご指導のもと購入しました。合計10万円ぐらいだったかな。当時の私にはとても高価な手術道具に感じました。 まず始めは、ラットの神経の移植をする実験を診療科長の上田和毅先生から仰せつかりました。その実験が終了したあとのラットを血管吻合練習に使わせてもらうのです。 この頃の私の心に残る記憶としては、夜の実験室ですね。昼間は忙しく、実験などしている時間がなかったので、自ずと実験は夜中になります。誰もいない夜の実験室で、
5月25日


作家の宮本輝さんのこと
今回は、医療と関係ない話です。 私、作家の宮本輝さんの作品が大好きなんです。 出会いは、大学受験か高校受験かどちらかなので、中学3年か高校3年の時です。どこの学校だったか覚えていないのですが、「螢川」という芥川賞を受賞された作品の最後の場面が国語の過去問に使用されていました。これに感動した私は、早速「螢川」「泥の河」「道頓堀川」の川3部作の文庫本を買ってきて、受験勉強そっちのけにして全部読んだというのが始まりです。 その後は、「青が散る」「春の夢」「錦繍」と大学時代は、その時代に出版されていたほぼ全ての小説以外にも随筆なども含めた宮本作品を読みました。大学を卒業した後は、一人前の形成外科医になるための勉強で忙しくてあまり小説を読まない時期がありましたが、ほぼ全ての宮本作品を読んだと思います。 宮本輝作品を読んだことのない人のために、私がお勧めする順番をご紹介しましょう。 螢川、泥の河、道頓堀川 川三部作 まずは、これを読んでください。川三部作と呼ばれています。 「泥の河」(1977年太宰治賞)、「螢川」(1978年芥川賞)を受賞されています。..
5月18日


裏ハムラの複視について
裏ハムラ手術の術後合併症としての複視が話題になっていると耳にしました。 この機会に、私がこの20年あまりの間に経験した裏ハムラの複視について書きたいと思います。 複視について まず、複視について説明します。 複視というのは、1つの物が2つに見える状態のことをいいます。つまりダブって見えるということです。われわれの目は、左右の2つの目で少し異なる角度から物を見てその情報を脳がまとめて1つにして認識していますが、そのバランスが崩れると複視が生じます。 複視には、両眼性複視と単眼性複視があります。両眼性複視の場合は、片眼を閉じると複視が消えます。つまり、両目で見る機能が障害されています。原因としては、斜視、外眼筋麻痺、外傷による外眼筋障害、急激な眼位の変化などがあります。一方、単眼性複視は、片眼でも二重に見えます。原因は、角膜の問題(乱視など)、白内障、水晶体の問題などがあります。 われわれ形成外科医が遭遇する複視には、眼窩底骨折がメインでしょう。私も形成外科医として眼窩底骨折の治療に携わってきましたので、たくさんの複視を診てきました。典型的な複視は、
5月11日


「汗のにおい」の正体とは?〜エクリン汗腺と生活習慣の関係〜
甲府昭和形成外科クリニックの大河内です。ひきつづきワキの汗に関していろいろな情報をお伝えできればと思います。今回は汗のにおいについてお話します。 「汗臭いにおい」と聞いて、どんなにおいを思い浮かべますか? ちょっと酸っぱいにおい、ツンとしたアンモニアのようなにおい…。これらは私たちの体に無数に存在する「エクリン汗腺」から出る汗が、皮膚表面の菌によって分解されることで発生します。 エクリン汗腺は全身に約200万〜500万個分布しており、運動時や暑いときに体温を調節するために汗を分泌します。汗の成分は約99%が水分で、残りは電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム)、尿素、アンモニア、乳酸、微量の亜鉛・鉄・脂肪酸などです。分泌された直後の汗は基本的に無臭です。 では、なぜ汗のにおいが生まれるのでしょうか? それは皮膚にいる常在菌が汗の成分を分解することで、におい物質が発生するからです。乳酸はコリネバクテリウム属の菌によって酢酸やプロピオン酸となり酸っぱいにおいに、尿素はブドウ球菌などによってアンモニアに変化してツンとしたにおいに、
4月27日


医療レーザー脱毛の仕組み|パルス式・蓄熱式の違いとレーザーの種類
医療レーザー脱毛は、クリニックで行う高い脱毛効果が期待できる治療です。 しかし、医療脱毛には、「パルス式(熱破壊式)」、「蓄熱式」といった照射方法の違いや、「アレキサンドライトレーザー」、「YAGレーザー」、「ダイオードレーザー」などのレーザーの種類があり、毛質や部位によって使い分けられています。 今回は、医療レーザー脱毛の仕組みや、それぞれの特徴を一般の方にわかりやすく解説したいと思います。 医療レーザー脱毛の仕組み 医療レーザー脱毛は、毛の黒い色(メラニン)に反応するレーザー光を照射し、毛髪を作る組織を破壊することで脱毛効果を得る治療です。 レーザー光がメラニンに吸収されると熱が発生し、次のような組織にダメージを与えます。 毛母細胞(毛を作る細胞) 毛包(毛を成長させる) バルジ(毛の成長をコントロールする領域) この働きによって、毛が生えにくくなっていきます。 医療機関で行うレーザー脱毛は、エステ脱毛と比べて出力の高いレーザーを使用できるため、より高い脱毛効果が期待できます。 パルス式(熱破壊式) パルス式は、高いエネルギーのレーザーを「パ
4月20日


アポクリン汗腺の役割 ~動物との比較から見る人間の進化~
甲府昭和形成外科クリニックの大河内です。ひきつづきワキの汗に関していろいろな情報をお伝えできればと思います。今回はアポクリン汗腺の役割について人間と動物を比較しながらお話します。 私たち人間の体には主に二種類の汗腺があります。ひとつは体温調節に欠かせないエクリン汗腺、もうひとつはにおいに関わるアポクリン汗腺です。 多くの哺乳類は全身にアポクリン汗腺を持ち、その動物特有のにおいはここから生まれます。これに対して、人間は全身にエクリン汗腺を発達させ、大量の汗をかいて体温を下げるという、ほかの動物にはない珍しい仕組みを持っています。直立二足歩行や体毛の退化、そして社会的コミュニケーションの進化に伴い、人間の発汗様式は大きく変化しました。 身近な動物と比較しながら、人間の汗腺はどのように進化してきたのか調べてみました。 馬 馬は人間と並んで全身から大量の汗をかく数少ない動物です。馬の汗はアポクリン汗腺由来で、ラセリン(latherin)という成分を含み、泡立つ特徴があります。これにより汗が体表に広がりやすく、効率的に体温を下げることができます。 牛..
4月13日


形成外科歴30年を振り返って
本年2026年4月より、私は14年間務めた山梨大学医学部の職を辞し、本クリニックの院長になりました。人生の一つに節目に際し、今回は今までの医者30年を振り返って僭越ながら自分の話をしたいと思います。 1995-1997年 皮膚科研修医時代 山梨医科大学(現山梨大学))を卒業して、皮膚科に進みました。私の時代は現在のような初期臨床研修というシステムはまだありませんでしたので、入局のリクルートは大学6年生の時で、卒業と同時に専門の科へ進む制度でした。この2年間は、毎月10日ほどの当直をして早朝から深夜まで働いて、休みもなく今では考えられないような生活でした。 しかしながら、皮膚科医としての基本を学ぶとともに、病棟では、水疱症、皮膚T細胞リンパ腫、膠原病、全身熱傷の管理など、すさまじく濃密な2年の研修医生活を過ごすことができました。そんな中でも、最も疲弊する原因となったのが全身熱傷の治療です。救急部の先生の手を借りてはいましたが、集中治療室での全身管理は本当に大変でした。 1997-1998年 自治医科大学時代 形成外科を志すことに決めた私は東大の形成
4月8日


ルーベンスから美を考える
みなさまこんにちは、形成外科医の長坂です。 好き勝手にブログを書いていいとのことでしたので、今回も長々と書かせていただきます。堅苦しい内容ではないので、ご興味のある方はお付き合いください。 私はクリスマスにはケーキを食べ、年末年始は除夜の鐘に初詣、天皇誕生日は心から祝日を謳歌する…という宗教観に乏しい典型的な日本人です。ただ、幼少期はキリスト教が身近な環境で育ち、自然と宗教画に触れる機会が多く、気付いた時には西洋美術が好きでした。 ルーベンスという画家をご存知でしょうか。『フランダースの犬』で主人公ネロが憧れた画家で、「パトラッシュ、疲れたよ…(以下略)」の場面、ネロが最期に観た絵を描いた人です。画家の王とも称され、存命中から画家としても外交官としても高く評価されていました。作品をみれば、その人気にも納得がいきます。 ただ、彼の描く女性は、だいたい太っちょなのです。ぽっちゃりという可愛いレベルではありません。 スリムな女性が美しいとされるのは1920年代以降だそうで、それまでは女性はふくよかな方が美しいとされてきました。楊貴妃だって80kgくらい
3月30日


フェイスリフトについて
美容外科におけるフェイスリフト( Face lift )は、加齢による顔のたるみやしわを改善し、若々しい輪郭を取り戻す手術です。今回はフェイスリフトについて「歴史」「老化の仕組み」「術式の種類」「メリット・デメリット」まで一般の方向けにわかりやすく述べたいと思います。 フェイスリフトの歴史 ① 1900年代初頭:皮膚だけを引き上げる時代 初期のフェイスリフトは「皮膚を切って引っ張るだけ」の手術でした。 効果は一時的で、引きつった不自然な仕上がりになりやすいという問題がありました。 ②1970年代:SMAS法の登場 顔面頬部の皮下に存在するSMASという浅筋膜の層を処理する方法が確立されました。 表面の皮膚だけを牽引するのではなく“土台”となるSMAS(浅筋膜)を引き上げることで、より自然で長持ちする結果を得ることができるようになりました。 ③1990年代:ディーププレーン法 SMASの下の層を剥離する方法です。これにより、ほうれい線や中顔面の改善効果が高まりました。 ④2000年代以降:低侵襲・個別化の時代 ミニリフト、内視鏡リフト、糸リフトなど
3月23日


世界で見たわきが事情 ~地域ごとの違いと文化的背景~
甲府昭和形成外科クリニックの大河内です。 ひきつづきワキの汗に関していろいろな情報をお伝えできればと思います。 今回はわきがについて世界の各地域で比較してみました。 わきがは、アポクリン汗腺から分泌される汗が皮膚の常在菌によって分解されることで生じる特有の体臭を特徴とする体質です。世界を見渡すと、わきがの有病率や社会的な受け止め方、治療の普及度には大きな地域差があるようです。 日本を含む東アジアのわきが体質の割合は5〜15%程度と低く、このため腋臭症は病気として認識されやすく、社会的な感受性も高いのが特徴です。 日本国内ではわきがの有病率に明確な地域差があるという大規模な疫学データは存在しませんが、耳垢型や遺伝的背景(ABCC11遺伝子の分布)に由来する人種的・集団的な差が報告されており、縄文系(湿性耳垢が多い)・弥生系(乾性耳垢が多い)という人類学的仮説に基づき、東日本より西日本に湿性耳垢がやや多いとする説があります。 日本と比較して韓国や中国北部のわきがの有病率はさらに低いそうです。ABCC11遺伝子のA型(乾性耳垢型)は北東アジアで生じ
3月18日
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